書店員様の『本を売るパワー』に圧倒された大会でした!
選考委員長 販促コンサルタント 竹内謙礼
このたびは、すばる舎主催の「第1回書店POP大賞」にご応募いただき、誠にありがとうございました。全国の書店員様から、90作品のPOP事例の申し込みがあり、選考委員長である私自身が、「こんなPOPのアイデアがあったんだ!」と、新しい発見と感動の連続の審査でした。
今回、多くの書店POPを拝見させていただきましたが、書店員様の持つPOPに対してのポテンシャルの高さには、改めて驚かされました。商品の付加価値の高め方、そして表現方法、さらには、「この本を売ってやる!」という思いに関しては、他業種と比較にならないほどのパワーがあることを実感しました。そして、それと同時に、まだまだ「本」という商材は、売り手次第でいくらでもお客さんに「欲しい!」と思わせることができるものだという、新たな可能性も垣間見ることができました。
これを機会に、私自身も著者として、書店員様の日々のお仕事に感謝するとともに、1冊でも多くの本が売れるように、さらなるPOPノウハウに磨きをかけていきたいと思います。
▲90件の応募がありました!
竹内謙礼(たけうち けんれい)
販促コンサルタント。
大学卒業後、雑誌編集者を経て観光牧場「成田ゆめ牧場」の企画広報に携わり、通信販売や実店舗の運営、企画立案等を行う。楽天市場に出店したネットショップはオープン3年目で年商1
億円を達成。2年連続で楽天市場のショップ・オブ・ザ・イヤー「ベスト店長賞」を受賞。またオークション&ショッピングサイト「ビッダーズ」において準グランプリを受賞。
現在はビジネス雑誌や日経MJに連載を持つ傍ら、全国の商工会議所や企業等でセミナー活動を行う。また、「タケウチ商売繁盛研究会」の主宰として、多くの経営者や起業家に対して低料金の会員制コンサルティング事業を行っており、特にキャッチコピーによる販売戦略、ネットビジネスのコンサルティングには、多くの実績を持つ。
著書は、『売り上げがドカンとあがるキャッチコピーの作り方』(日本経済新聞出版社)、『御社のホームページがダメな理由』(中経出版)、『会計天国』(PHP研究所、共著)など多数。
本の『内容』の説明ではなく、本の中身を『期待』させるPOPを
今回、選考に関しては、審査委員長である私の独断で決定させていただきました。
POPは売場の環境や客の性質、陳列されている商品の影響を受けやすく、「このPOPが絶対に売れる!」と絶対的な立場で言いにくいところがあります。しかし、私自身、11年間のコンサルタント経験で積み重ねた、「この方向性でPOPを作れば、高い確率で売れる」というルールを持っているところがあります。だから、優秀者を発表した際、「なんでこのPOPが優秀賞なんだ!」「俺のPOPのほうが売れたぞ!」という意見が必ず出ると思いますが、その点は“コンテスト”という形式上、どうしても優劣をつけなくてはならないことを、応募者の皆様にはご理解していただければと思っております。
さて、本題の選考方法ですが――まず、第一次選考基準としてふるいにかけてしまったのが、「ありがちな言葉で作ったPOP」でした。ありがちな言葉、よくある言葉で作ったPOPは、どんなに目立たせても、お客さんの目線をスルーされてしまいます。つまり「ありがちな言葉=よくある本」と思われてしまい、お客さんの心に刺さらなくなってしまうのです。
また、今回は〈書店POPコンテスト〉というだけあって、ほとんどのPOPが、よりすぐりの〈目立つPOP〉でした。そのような事情から、さらに売れるPOPというハードルを設けたことにより、ありがちな言葉、よくある言葉で表現されたPOPは一次審査で落とさせていただきました。特に、今回の「1秒POP」の本の表紙に書かれているような言葉、もしくは、それに類似するような言葉をただ記載しただけのPOPは、〈あともう少し、言葉をひねる必要があったかな〉ということで、一次審査でふるいにかけさせて頂きました。
次に第二審査ですが、ここから先は、どれも優秀なPOP作品ばかりだったので選考に非常に悩みました。この二次審査の作品と、賞を受賞した作品とでは、正直、ほとんど僅差といってもいいでしょう。それだけ力作の応募ばかりでした。
しかし、ここで〈あえて〉ふるいにかけさせていただいたのですが、その違いは「購入する動機の明確さ」に基準を置かせていただきました。本の中身を伝えるPOPではなく、「この本を買ったら、私、ハッピーになれるんだ」とお客さんに〈お得な本だ〉と思わせる工夫がされているPOPを、今回、入賞作品として選ばせていただきました。
長引く不景気で、お客さんは商品を購入する際に「絶対に失敗したくない」という意識をとても強く持っています。そのために、「購入後」のイメージができない商品は、必然的に距離を置いてしまうようになっています。このような時代背景も考慮して、POPで本を「紹介」するのではなく、POPで本の「購入後のハッピーライフ」を想像させて、本を買わせていく仕組みづくりを強化していってもらえればと思います。
それでは、第1回の書店POP大賞の優秀作品を発表したいと思います!
■優勝(10万円)
明屋書店 コスモタウン佐伯店 渡辺様
【評価】
〈自分の経験〉という説得力のある題材でアピール
自分自身の写真を使って目を引き、なおかつお客さんに「私も使ってます」とアピールして、本の内容の〈信頼感〉を演出。職務中の限られた時間の中で、売場の狭いスペースで最大限アピールするのであれば、このPOPの構成は秀逸の出来栄えといってもいいだろう。
■銀賞(2万円)
紀伊國屋書店 グランフロント大阪店 木高真己様
【評価】
買い手の立場に立った、〈売る気〉がビシバシ伝わってくるPOP
「販売に携わる方〜」「POPはただ作ればいいってもんじゃない〜」等、POPを作る側の立場に立った言葉を多用。特にイラストの手に、ポップ用のマジックを持たせていることで、さらに買い手側のイメージが湧きやすくなっている。目立つ作り込み、丁寧なPOP作りがさらに好感を持つ。
■銅賞(1万円)
らくだ書店 本店 稲葉俊博様
【評価】
アイデアだけで、POPはオリジナリティのあるものになる
本を切り抜いた「POP」という文字で、お客さんの興味を引くことに成功。「なんだろう、これは?」と思わせるアイデアさえあれば、キャッチコピーが平凡でも、イラストや文字が下手でも、お客さんの「買いたい!」という気持ちを煽ることはできる。
■ユーモア賞(5000円)
明屋書店 行橋行事店 宮原大典様
【評価】
POPを〈めくる〉という新しい発想
本をPOPに仕込んで、それを読ませるというユーモアさには脱帽。これでイヤでも本の表紙はめくりたくなるし、本の内容にも興味を持ってもらえる。〈人とちょっと違う〉という視点を持つことは、POP作りには非常に重要である。
■アイデア賞(5000円)
明屋書店 南岩国店 梶原英司様
【評価】
狭い面積の売場で、〈床POP〉は効果大
最近、薬局薬店でも活用されつつある〈床POP〉。ダイナミック展開ができない狭い売場で、お客さんの注意を引くのに一役買ってくれる。POPのイラストとデザインを、統一させることで、お客さんにすぐ気付いてもらうように工夫しているアイデアも高ポイント。
■努力賞(2000円)
明文堂書店 能登七尾店 磯辺愛里沙様
【評価】
〈カリオストロの城〉の名台詞とイラストで注意を引いた点は秀逸。丁寧に作り込んだイラストは、お客さんに対しても“丁寧に売っている”と思われる相乗効果を生む。
有隣堂ヨドバシAKIBA店 柳原様
【評価】
言葉のシンプルさと、イラストのシンプルさが絶妙なバランス。キャッチコピーも、テンポよく読めて、言葉もドカンと心に突き刺さる。たくさんPOPを作れば、さらに高いレベルのPOPが作れるはず。
明屋書店 光店 原田典子様
【評価】 〈買い手側〉のことがしっかり考えられているキャッチコピーになっており、POP製作時間も短時間で作れるように工夫されている。平凡そうなPOPに見られるが、かなり考え込まれた仕掛けが施されている。
明屋書店 中津本店 森田紀子様
【評価】
本の内容を、3つの条件だけで絞り込んだ点は素晴らしい。POPも手書きで愛情が込められており、非常に読みやすい文字であることも好感が持てる。
明屋書店 臼杵野田店 和田健二郎様
【評価】
この本を読んで作ったPOPで、別の本を売ったというコンセプトには著者としては大いに笑わせてもらった。できれば、私のPOP本を読んで、別の私の本を売ってもらえればうれしかったのだが(笑)。
多数のご応募、誠にありがとうございました!
※受賞された書店員さまには、営業担当より直接ご連絡差し上げます。
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